実用性 2018 5 5

 今日は、技術開発における問題点を書きましょう。
私は、かつて「10式戦車」は、カタログ上は、
世界最強の戦車であると書きました。
 なぜ、「カタログ上は」と書いたかというと、
そもそも兵器というものは、
実戦に投入して改良を重ねていくものだからです。
 世界最強と称される「10式戦車」には、
実戦の経験がありませんので、
「カタログ上は世界最強」と言わざるを得ないのです。
 「10式戦車」をアメリカに輸出して、
実戦で使えば、数多くの問題点が出て、
その都度、改良を重ねれば、
文字通り「世界最強」となるでしょう。
 今は、「シンゾー・トランプ」の仲がありますので、
無理やり頼み込めば、
アメリカが10式戦車を買わざるを得ないでしょう。
 それでも、アメリカが買わないというならば、
やはり、日本の戦車に何らかの問題点があると認識すべきです。
 アメリカ人は、喜んで日本の自動車を買っているのに、
日本の戦車は買わないというのは、
何らかの問題点があると考えるべきです。
 さて、一般の人には、
兵器開発の話はわかりにくいと思いますので、
昔話をしましょう。
 私が大学生の頃は、スポーツバイクが全盛の時代でした。
限りなくレーシングマシンに近づけた、
レーサーレプリカのバイクが大人気でした。
 私も、流線型のデザインと、
最新鋭の技術を惜しみなく投入したバイクに惚れ込んでしまい、
ついアルバイトで貯めた資金で、レーサーレプリカを買ってしまったのです。
 買った時は、最新鋭技術の塊であるバイクを所有したことで、
うれしくて毎日が輝いていました。
 しかし、それが失望に変わるのは、数か月もかかりませんでした。
バイクなので、峠道を走ってこそ性能が発揮できるので、
普通の峠道を走っている分には問題なかったのですが、
高山の峠道に行ったら問題が発生したのです。
 アクセルに対して、エンジンの反応が悪くなったのです。
アクセルを開けても、エンジンの回転数が上がらなくなったのです。
 当時のエンジンは、4ストローク・エンジンではなく、
2ストローク・エンジンであり、
キャブレターは、自然吸気で機械式だったと思います。
 高地で空気が薄くなり、
キャブレターにトラブルが発生したものと考えられました。
 2ストローク・エンジンのキャブレターは、
極めて繊細で微妙な調整が必要です。
 もちろん、メーカーは、テストコースや市街地で、
数多くのテストを重ねて、市販車を発売したのでしょうが、
まさかライダーがレーサーレプリカを高地で走らせるとは、
想定していなかったでしょう。
 その後、そのバイクは、2年後のモデルチェンジで、
電子制御式のキャブレターを採用して、完成度を高めました。
 私は、「平地限定」のバイクに乗り続けましたが、
結果的に「バイク開発」に参加させられたという思いと、
新車発売から半年待てば、ユーザーの声が多数寄せられて、
マイナーチェンジをしたバイクを買うことができたと思いが交差して、
当初の熱気は冷めてしまいました。
大学生という青年時代の「若気の至り」だったのかもしれません。
 日本のメーカーは、技術力の誇示は熱心でも、
ユーザーが実際に使ってみると、どうなるかという点については、
関心が低いかもしれません。
 もちろん、バイクにしても電化製品にしても、
あらゆる環境で、時には過酷な環境で、
ユーザーが使ってみて、
つまり「実戦」があるので、
ユーザーの声がメーカーに寄せられて、
製品の完成度が上がっていきますが、
日本の兵器の場合は、実戦がありませんので、
いつまでたっても「カタログ上、最強」となるかもしれません。
 もちろん、実戦を勧めているわけではありませんが、
せめてメーカーの開発者は、
イラク戦争やアフガニスタン戦争の現場に行って、
兵器開発の参考にするか、
それが無理ならば、世界各地で開催されている、
「兵器ショー」に参加して、
世界各国の兵器開発者と熱心に議論を重ねるべきだったと思います。





























































































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